【競売】不動産競売落札後の流れは?落札から占有解除までの流れを解説

【競売】不動産競売落札後の流れは?落札から占有解除までの流れを解説

不動産競売で落札した後、旧所有者に退去してもらう必要がありますよね…。何だか大変そうですね。。

そうですね、競売で一番大変なのが占有解除(占有者に退去してもらう)かもしれません。
本日は、不動産競売での物件落札から占有解除までの流れを解説します。

こんにちは、競売大屋おかぴです。

前回の記事では、不動産競売の入札から落札後の手続きの流れを解説しました。

今回の記事では、落札後も不動産に居住している占有者の占有解除について解説します。

不動産競売で出ている物件の多くは、競売中も人が住んでいます。
このような、物件を占有している人物のことを占有者と呼びます。

以下のように、占有者にも2種類存在します。

  • 無権限(使用借権)で建物を占有している
  • 賃貸借契約を結び建物を占有している

競売物件落札後は、占有者のタイプや状況に合わせて適切に対処していかなければいけません

占有者のタイプ別に落札から占有解除の方法を解説します。

競売物件の占有者が無権限(使用借権)で建物を占有している場合

不動産競売無権限占有

このケースの多くは、自宅が不動産競売にかかってしまったというパターンです。債務者が所有していた物件を親族に無償で貸していたというパターンもありますね。

いずれにせよ、家賃を払わずに競売物件に住んでいるという状態です。

この場合は、占有者に退去してもらうそのまま家賃を払って住んでもらうかのいずれかで進めていきます。

そのために、占有者と交渉する法的に手続きを進めるかしなければいけません。どちらの手法を選ぶかは占有者がどのような性格の持ち主かによって決めると良いでしょう。

占有者には、常識があり交渉が可能なタイプ常識がないまたは感情的になっておりトラブルになるリスクがあるタイプが存在します。

占有者がどんなタイプの方か、は裁判所が出している不動産競売の三点セットからある程度判断することが可能です。

常識があり交渉が可能な占有者の場合

不動産競売占有者まとも

三点セットを見て執行官と連絡が取れてまとまにやり取りしている占有者の場合、交渉の上退去してもらう(協議退去)または家賃を払ってもらい引き続き住んでもらう(リースバック)ことができる可能性があります。

協議退去が成功すると、引渡命令申立をした場合よりも費用を抑え短期間で物件の明け渡しが完了する可能性があります。

また、リースバックが成功するとリフォーム費用をほとんど書けずに家賃収入を得ることができるので驚異的な高利回りを実現させることができます。

私もリースバックを成功させたことがありますが、その際の利回りは65%になりました。

それでは、どのように占有者との交渉を進めていくかを説明します。

①落札した競売不動産の占有者に連絡を取る

まずは、占有者の連絡先を調べます。

売却許可決定が為されて正式に買受人となったら、執行官と占有者とのやり取りの記録や、占有者の連絡先が記載されている資料を裁判所で閲覧することができます。

そこに記載されている連絡先に、手紙、電話等の方法で連絡を取ってみましょう。

連絡が取れたら占有者の状況に合わせて協議退去、リースバックの交渉を行います。

何度か連絡をしてみても連絡が取れずどうしようもない場合は、引渡命令申立を行う必要があります。その場合は、交渉が難しい占有者の場合のフローへ進んでください。

②協議退去もしくはリースバックの交渉を行う

占有者と連絡が取れたら、直接協議退去もしくはリースバックの交渉を行います。

引き続き住む意思がない、または物件や予算が占有者に合わない(一人暮らしなのに4LDK等)場合は協議退去に進みましょう。

占有者に引き続き住みたい意思があり、物件規模や予算が占有者とマッチする場合はリースバックの交渉に進みます。

・協議退去の場合

退去までの期限、退去後の残置物の所有権放棄に同意する合意書を結びます。
この合意書は非常に重要です。

退去までの期限はしっかり定めて、期限を超えても退去が確認できない場合は違約金として一日あたりいくら支払うという形で設定しておきましょう。

また退去後の残置物の所有権放棄に関しては、合意を得ずに残置物を処分してしまうと占有者から損害賠償を請求される可能性があります。

落札した物件内に存在する動産は競売の対象ではないので、買受人が勝手に処分をすることはできないので注意が必要です。

引越ししたくても引越し費用がないので退去はできないと言われた場合は、少々負担は増えますが退去費用を補助してあげると協議退去がスムーズに進みます

ちなみに、占有者が生活保護受給者の場合は退去費用も行政から出るので退去費用を補助してあげる必要はありません。

・リースバックの場合

占有者に引き続き住みたい意思があり、予算がマッチする場合は不動産屋に仲介を依頼して正式に賃貸借契約を結びましょう

家賃の滞納などのリスクもあるので、その際には必ず家賃保証連帯保証人はつけてもらうようにしましょう。

もしこれらをつけられないようであれば、リスクが高いので協議退去を進めることも検討してください。

交渉が難しい占有者の場合

不動産競売占有者異常

三点セットを見て執行官とまともにやり取りができていない場合や連絡がつかない場合は、裁判所に引渡命令申立を行い法的に物件の明け渡しを進めます。

引渡命令は代金納付をしてから6ヶ月以内であれば申立てることが可能です。
必ず、6ヶ月以内に申立てるようにしましょう。

引渡命令が発令されれば物件の明け渡しまで裁判所の元進めることが可能ですが、どんなにスムーズに進んでも約2ヶ月、さらに強制執行にはそれなりの費用が必要となります。

協議退去よりも時間、費用がかかるケースが多いです。

引渡命令は以下の流れで進めます。

①不動産引渡命令申立

対象の競売不動産の管轄裁判所へ、引渡命令申立書、申立費用として相手方1名につき500円の収入印紙決定正本の送達料分の切手を郵送します。

②不動産引渡命令の決定

引渡命令申立後、裁判所にて不動産引渡命令の発令可否を決定します。

発令できると判断された場合は引渡命令が発令され、申立人、相手方双方に引渡命令正本が送達されます。

③不動産引渡命令に対する不服申立

引渡命令正本が送達された日の翌日から1週間以内であれば、相手方は不服申立(執行抗告)が可能です。

相手方から執行抗告が無い、または執行抗告が却下、棄却された場合引渡命令が確定します。

④強制執行

引渡命令が確定すると、引渡命令執行の申立てを行うことが可能となります。
引渡命令執行の申立てを行い所定の予納金を納めると、申立てを受けた執行官が執行に着手します。

執行官はまず、相手方に期限を定めて不動産を明け渡すよう催告します。
それでも相手方が明け渡しに応じなければ、運送業者を手配して明け渡しの執行が実施されます。

明け渡しの執行が実施された場合、運送業者を手配する費用等相応の費用が発生します。

⑤明け渡し完了

以上で、明け渡しが完了です。

賃貸借契約がある場合

不動産競売占有者賃貸

不動産競売の中には、前所有者が貸家として貸し出している物件が出ているケースもあります。

アパートが競売物件として出ている場合はほぼこのケースにあたります。

借主にそのまま居住してもらう場合と、退去してもらう場合の流れを説明します。

借主にそのまま居住してもらう場合

借主にそのまま居住してもらう場合は、貸主が変わるので賃貸借契約を結び直す必要があります。

基本的に、三点セット、または裁判所で閲覧できる資料に管理会社が記載されているので、記載されている管理会社に各借主と賃貸借契約を結び直すよう依頼しましょう。

借主に退去してもらう場合

抵当権設定以前に賃貸借契約が結ばれている場合

このような場合、「正当の事由」がない限り借主に対して明渡しを求めることは難しいです
現在の占有者に必ず退去してもらう必要がある場合、このような物件には入札しない方が良いでしょう。

抵当権設定以降に賃貸借契約が結ばれている場合

このような場合、占有者に退去してもらうことが可能です。

ただし、代金納付から6ヶ月間の間は建物明渡猶予期間なので退去させることができません。
建物明渡猶予期間満了後の3ヶ月間、買受人は引渡命令申立を行うことができます。

例外として、建物明渡猶予期間の間でも引渡命令申立を行うことができるケースがあります。

建物使用者が建物を使用した対価を1ヶ月分以上未納であったケースです。

買受人から相当の期間を定めて催告したにも関わらず支払いがなかった場合、建物明渡猶予期間の6ヶ月の間でも引渡命令申立を行うことができます

まとめ

以上、最後の方はちょっと難しい話になってしまいましたが本日の内容をまとめます。

占有解除は占有者のタイプによって方法を決める

・競売物件の占有者が無権限(使用借権)で建物を占有している

  常識があり交渉が可能な場合
  ┗協議退去
  ┗リースバック

  まともな交渉ができないまたは連絡が取れない場合
  ┗引渡命令申立て

・賃貸借契約がある場合

  借主にそのまま居住してもらう場合
  ┗賃貸借契約を結び直す

  借主に退去してもらう場合
  ┗抵当権設定以前に賃貸借契約を結んでいる
   →相当な理由が無いと強制的に退去は難しい
  ┗抵当権設定以降に賃貸借契約を結んでいる
   →代金納付後6ヶ月(建物明渡猶予期間)を経た後引渡命令申立が可能

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