不動産屋さんに、5,000万円の区分マンションを紹介されました。今なら200万円も値下げしてくれるらしいです。こんなに安くなるなら、絶対買うべきですよね!
ちょっと待って、その物件は本当に安いんですかね?「積算価格」を出して本当に安いのか調べてみましょう。
こんにちは、競売大家おかぴです!
この記事では、
- 不動産投資を始めたい
- 不動産を購入したいんだけ不動産の本当の価値を調べる方法を知りたい
という初心者の方向けに、金融機関も融資判断を行う際に使う「積算価格」という不動産の価値の計算方法を紹介します。
「積算価格」の考え方を知ることで、不動産の本当の価値がわかるようになるので不動産屋にぼったくり価格で物件を買わされるリスクが減ります。
不動産投資を始める前に、必ず「積算価格」の考え方は理解しておきましょう。
不動産の価値を調べる「積算価格」とは?
不動産の積算価格とは簡単に説明すると、土地と建物をそれぞれ評価し合算した評価額です。
土地の評価方法は「路線価」「公示価格」「固定資産税評価額」を利用して評価します。
建物は、対象の建物を「再度新築した場合の費用」から「築年数分の原価」を差し引いて算出します。
この方法を「原価法」とも呼びます。
金融機関が融資の際に、その不動産にどれくらいの担保価値があるか調べるために積算価格の考え方を使っています。
実際に市場の相場は積算価格よりも高いんですが、市場の相場価格目安も積算価格を元に算出することができます。
市場の相場価格目安の算出の仕方も後ほど紹介させていただきます。
この考え方で誰でも不動産の価格の基準を知ることができるので、不動産屋の言い値を鵜呑みにして高値で物件を買わされるリスクを減らすことができます。
高値で買わないことでいざという時購入時の価格と近い価格で不動産を売却することができるので、安心して不動産投資ができますね。
それでは、まずは積算価格の詳しい算出方法を見ていきましょう。
「積算価格」の計算方法
積算価格は冒頭でも述べたように、土地と建物の評価額を合算して算出します。
積算価格 = 土地の評価額 + 建物の評価額
土地の評価額の出し方
土地の評価額の計算方法は、土地の位置や形によっても変わってきます。
今回は通常の地形の場合、角地の場合、旗竿地の場合の算出方法をご紹介します。
通常の地形の場合
土地の評価額は主に、以下のような基準を用いて算出します。
- 「相続税評価額路線価」 国税庁
- 「固定資産税路線価」 市町村
- 「公示価格」 国土交通省
- 「基準地価」 都道府県
どの基準を使っても良いのですが、今回はインターネットで簡単に調べられる国税庁が出している「相続税評価額路線価」(以下、路線価)を使って説明します。
土地の評価額は、 路線価 × 土地面積 で算出することができます。
日本全国の路線価は、国税庁の財産評価基準書路線価図・評価倍率表というサイトから誰でも調べることができます。
路線価は、㎡単位で公表されています。よって、土地を評価する場合は以下の計算式で算出します。
試しに、渋谷の駅前の路線価を見てみましょう。
路線価はこのように、地図形式で公表されています。
渋谷駅に面している道路に6,700Bと記載されています。
路線価図に記載されている数字は、㎡あたりの土地の価格を1,000で割った値を表しています。
なので、赤枠で囲ったエリアの土地は㎡あたり670万円の価値があるということですね。
例えば、ここに面している100㎡の土地の場合評価額は6億7,000万円になります。
角地の場合
角地は、利用価値が高いため通常の土地よりも高く評価されます。以下、角地の評価額の算出方法です。
- 接面する道路の中で最も高い価格を路線価として採用する。
- 路線価を1.1倍する。
例えば、この赤丸の部分に位置する場合を考えます。
角地なので赤枠の中から高い方の路線価を採用します。
330Cと350Cなので、今回は350C。つまり㎡あたり、35万円です。
35万円を更に1.1倍するので、赤丸の土地の評価額は㎡あたり35万円 × 1.1=38万5,000円です。
旗竿地の場合
旗竿地とは、このように道路に面している部分が狭くなっている土地です。
このような土地は使い勝手が悪いので路線価よりも土地の評価が下がります。
一般的に、通常の路線価から3割程度価値が低くなると言われています。
なので、対象の土地が旗竿値の場合は0.7倍した価格を土地の評価額とするのが良いでしょう。
建物の評価額の出し方
次に、建物の評価額の算出方法を紹介します。
建物の評価額は以下の計算式で計算することができます。
建物の評価額 = 再調達価格 × 延べ床面積 × ( 残存耐用年数 ÷ 法定耐用年数 )
再調達価格、耐用年数は建物の構造毎に異なります。
再調達価格
再調達価格とは、新たに同じ建物を新築した場合いくらかかるかという基準で求められます。
価格は、建物の構造毎に異なり以下のように定められています。
- 鉄筋コンクリート造 20万円/㎡
- 重量鉄骨造 18万円/㎡
- 軽量鉄骨造 15万円/㎡
- 木造 15万円/㎡
法定耐用年数
法定耐用年数も建物の構造毎に異なった基準が定められています。
- 鉄筋コンクリート造 47年
- 重量鉄骨 34年
- 木造 22年
残存耐用年数 ÷ 耐用年数を計算することで、新築当初と比べて建物の価格が何%残っているかを算出しています。
尚法定耐用年数を超えた建物の場合、建物の評価額は0円と評価されます。
積算価格を実際に計算してみた
例えば、以下のような物件があったとします。この物件の積算価格はいくらになるでしょうか。
延べ床面積 120㎡
土地面積 100㎡
構造 木造
築年数 15年
路線価 10万円/㎡
積算価格は以下の数式で計算できるんでしたよね。
積算価格 = 土地の評価額 + 建物の評価額
まずは、土地の評価額を計算しましょう。
土地の評価額の計算方法はこちらです。
土地の評価額 = 路線価 × 土地面積
よって、10万円 × 100 = 1,000万円。
1,000万円が土地の評価額になります。
次は建物の評価額を計算しましょう。
建物の評価額の計算方法はこちらです。
建物の評価額 = 再調達価格 × 延べ床面積 × ( 残存耐用年数 ÷ 法定耐用年数 )
15万円(木造の再調達額) × 120㎡ × { 7年(残存耐用年数) ÷ 22年(法定耐用年数) } = 約573万円
573万円が建物の評価額になります。
土地の評価額と建物の評価額を足して、積算価格は1,573万円となります。
市場の相場価格の出し方
実際の市場での相場は積算価格より高いです。
建物の評価は積算価格での評価額と大きく変わらないのですが、一般的に積算評価の土地の価格は市場の相場の0.7倍であると言われています。
この0.7倍という数値は投資家によって見解が異なりますが、大きく外れた数値ではないかと思います。
なので、不動産購入の際に不動産屋に高値を吹っかけられていないか判断する際には以下の基準で考えてみましょう。
市場価格の相場 = 積算価格での土地の評価額 ÷ 0.7 + 積算価格での建物の評価額
先ほど積算価格を計算した不動産の市場価格の相場を算出してみると、以下のようになります。
1,000万円 ÷ 0.7 + 573万円 = 約2,002万円
もちろん積算価格以下で物件を購入できるのがベストですが、一旦この価格を基準に不動産屋の言い値が適正か判断してみるのが良いでしょう。
まとめ
- 「積算価格」は金融機関が融資の際に不動産の担保価値を判断するための指標。
- 不動産購入の際に、不動産屋の言い値が適性か判断する際の判断材料にもなる。
- 積算価格 = 土地の評価額 + 建物の評価額
- 土地の評価額 = 路線価 × 土地面積
- 建物の評価額 = 再調達価格 × 延べ床面積 × ( 残存耐用年数 ÷ 法定耐用年数 )
- 市場価格の相場 = 積算価格での土地の評価額 ÷ 0.7 + 積算価格での建物の評価額